高齢者不動産取引の留意点(意思能力の有無)

高齢者不動産取引の留意点(相続対策より先に考えるべき事)

意思能力の有無は非常に重要な問題です。2025年には高齢者認知症患者数約700万人(約5人に1人)見込まれています。(内閣府28年高齢社会白書)

 意思能力を有しない者がした法律行為は無効とされています。認知症だけではなく病気・事故、不安定な精神状態が続くことにより、意思能力が欠如する場合があります。不動産を売ったり、貸したりまた預金をおろしたりなど当然できなくなります。リバースモーゲージ・ハウスリースバックも同様です。資産が凍結します。有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に入居する資金も捻出できなくなります。必要な時に必要な資金が工面できないという事です。

 相続対策は重要でありますが、極端な話相続対策をしなくても相続はおきます(当然ですが)その結果資産は必ず動きます。相続人が税金をどうしよう、遺産分割協議が整わない、親族間のもめごとがおきたりしますが資産は動きます。後は単純承認・限定承認するか放棄するか相続人次第という事です。資産は凍結しません。相続がおきるのが先か、当事者の意思能力が欠如するのが先か?正直誰にもわかりません。

 意思能力が欠如した法律行為(不動産取引)はどうなるのか?次に判例を紹介します。